ドル円が一時161円台へ・約2年ぶり安値に接近|ホルムズ再開期待のリスク選好と「ドル高円安」のワケをやさしく解説

 










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ドル円がついに161円台に突入し、2024年につけた安値(161円95銭)が目前に迫ってきました。

「なぜここまで円安が進むの?」

「ホルムズ海峡の再開って、相場とどう関係しているの?」

「これからどこに注意すればいい?」

——この記事を読めば、その答えがすっきり整理できます。

むずかしい言葉は一つずつかみくだいていくので、どうぞ気楽に読み進めてくださいね。




まずは全体像から(先に結論をお伝えします)

細かい話に入る前に、いま相場で起きていることをざっくりつかんでおきましょう。

ポイントは3つです。

  1. ドル円は一時161円台に突入し、約2年ぶりの安値圏に接近 — 米国の早期利上げ観測でドル高が鮮明です

  2. ホルムズ海峡の再開期待で、投資家のリスク選好が強まっています — 日経平均は7営業日続伸、AI・半導体株が主役です

  3. 円安の上値では「介入警戒感」が支えに — 当局が動くか動かないかに、注目が集まっています


「ドルが強くて、円が弱い」
——この構図がはっきりしてきた、というのが今回のいちばんのポイントです。

前回のFOMCで生まれたタカ派の流れが、そのまま為替に効いている形ですね。

それでは、一つずつ見ていきましょう。


これまでの流れを、かんたんにおさらい

ここ数日の出来事を時系列で振り返ると、今の相場がぐっと理解しやすくなります。

  • 6月16日:日銀が31年ぶりとなる1.0%への利上げを決定。ただしペース加速は示さず、円買いにはつながらず

  • 6月17日(米国):FOMCが金利を据え置くも、ドット・プロットで半数が年内利上げを予想。
    「タカ派」と受け止められ、ドルが急騰

  • 6月18日:米利上げ観測が一段と強まり、ドル円は約2年ぶり安値圏へ。
    米イラン暫定和平合意も発効

  • 6月19日(今回):ホルムズ海峡の再開期待でリスク選好が強まり株高。
    ドル円は161円台に突入


こうして並べると、「日銀は動いたけれど円安は止まらず、米国のタカ派姿勢がそれを上回っている」という大きな流れが見えてきます。

それでは、今日の動きを順番に見ていきましょう。




1. ドル円、一時161円台へ — 約2年ぶり安値に接近

まずは足元の相場から見ていきましょう。

6月19日、ドル円は1ドル=161円台前半で推移しています。

前日(18日)には、ブルームバーグ・ドル指数が約2カ月半ぶりの高水準をつけるなど、ドル高が鮮明になりました。


「ドル指数」というのは、ドルがほかの主要通貨に対してどれくらい強いかを示すモノサシのこと。

これが上がっているということは、円に対してだけでなく、いろいろな通貨に対してドルが買われていることを意味します。


つまり今回の円安は、「円が特別に弱い」というより「ドルがみんなに対して強い」局面なんですね。

ここは相場を読むうえで大切な視点です。


注目は「161円95銭」という歴史的な節目

いま、市場がいちばん意識しているのが、2024年7月につけた安値「161円95銭」との距離です。

なぜこの数字がそんなに重要なのでしょうか。

それは、この水準を下回ると、約40年ぶりの円安水準に入ることになるからです。

40年前といえば、まだ多くの方が生まれる前。

それほど歴史的な節目が、すぐそこに迫っているわけです。


こうした「キリのいい節目」や「過去の重要な安値・高値」は、相場が反応しやすいポイントなので、初心者の方もぜひ意識しておきましょう。


こうした節目には、2つの顔があります。

ひとつは「ここを超えたら、さらに円安が加速するかもしれない」という壁としての顔。

もうひとつは「ここまで来たら、当局が介入してくるかもしれない」という警戒ラインとしての顔です。

だからこそ、節目の手前では値動きが神経質になりやすいんですね。


一時は上値をうかがうも、その後はやや押し戻し

19日は、ドル円が161円台で上値をうかがう場面がありましたが、一本調子に上がり続けたわけではありません。

24年安値の手前では、上値が重くなる動きも見られました。


理由は2つあります。

ひとつは、介入警戒感です。

161円95銭や162円といった節目が近づくほど、「日本の通貨当局が円買い介入に動くのでは」という警戒が強まり、ドル円の上値を抑えます。


もうひとつは、この日が米国市場の一部休場だったこと。

市場参加者が少なくなるため、大きな取引が出にくく、値動きが限られやすい状況でした。


つまり、「上に行きたい力(ドル高)」と「上を抑える力(介入警戒)」がせめぎ合いながら、高値圏でじりじりと推移している
——これが今の構図です。

一方向にどんどん進むというより、節目をにらみながらの神経質な展開、とイメージするとよいでしょう。


この日の注目イベント:5月の全国CPI

ちなみに今日の朝、午前8時半には5月の全国消費者物価指数(CPI)が発表されました。

CPIは、モノやサービスの値段がどれだけ上がったかを示す指標で、物価の「体温計」のようなものです。


エコノミストの予想中心値は、生鮮食品を除いたコアCPIの前年比上昇率が1.4%で、4月から横ばいでした。

物価の動きは日銀の利上げ判断に直結するため、為替トレーダーも必ずチェックしておきたい指標です。


物価が高ければ「日銀が利上げを急ぐかも」、低ければ「急がないかも」と、円相場の見通しにつながっていくんですね。



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2. ホルムズ海峡 再開期待でリスク選好 — 株高の波と市場の見方

次に、相場全体のムードを明るくしている材料を見ていきましょう。

米国とイランの暫定和平合意が発効し、緊張がほぐれ始めたことです。


そもそも「リスク選好」って?

まず言葉の確認から。「リスク選好(リスクオン)」とは、投資家が積極的にリスクを取りにいくムードのことです。

世の中の不安が和らぐと、「安全なところに逃げておこう」から「多少リスクを取ってでも、値上がりが狙える株などを買おう」へと、お金の流れが変わります。


逆に、不安が高まって安全資産に逃げる動きは「リスクオフ」と呼びます。

今回は、中東の緊張が和らいだことで、この「リスクオン」のムードが広がっているんですね。


ホルムズ海峡で、船の航行が再開し始めた

エネルギー輸送の大事な通り道であるホルムズ海峡で、船舶の航行が再開し始めました。

今後さらに正常化が進むのでは、という期待が広がっています。

ここで思い出してほしいのが、ホルムズ海峡が「世界の原油輸送の大動脈」だということ。

ここが正常化すれば、原油が安定して流れるようになり、エネルギー価格の不安がやわらぎます。


とくに、中東へのエネルギー依存度が高い日本やアジアは、これまで打撃を受けてきた分、見直し買いが入りやすくなります。

グローバルな投資マネーが、日本やアジアの株式に戻ってくるのでは、という思惑が高まっているんですね。

「これまで苦しかったところほど、回復の余地が大きい」と見られている、というわけです。


日経平均は7営業日続伸 — 主役はAI・半導体株

実際、日本株は好調です。

日経平均株価は7営業日続伸し、一時900円近く上げて7万2000円に迫り、取引時間中の最高値を連日で更新しました。


買われているのは、AI(人工知能)・半導体関連株です。背景には、海外からの追い風が相次いでいます。

  • 米国市場では、半導体株の指標であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が6%上昇して最高値を更新

  • インテルとアップルが半導体で協力すると、トランプ大統領が述べ、インテル株が急伸

  • アマゾンが、自社開発のAI半導体の外販を協議していると報じられた


こうしたニュースが、ソフトバンクグループやアドバンテストといった日本のAI・半導体関連株を押し上げています。

2027年3月期の利益予想を大幅に引き上げたフジクラのように、好業績を背景に買われる銘柄も出ています。


市場参加者の見方 — 「やっぱりAIが中心」

ただ、ここで興味深い指摘もあります。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は、米イランの合意で物色の裾野(買われる銘柄の範囲)が「出遅れセクター」にもう少し広がると思っていたが、今のところAI中心の構図は変わっていない、と話しています。


つまり、「これまで出遅れていた銘柄を拾うより、AI・半導体関連を買い続けたほうがリターンが高い」と考える投資家が多い可能性がある、というわけですね。

相場の主役は、依然としてAI——この点は頭に入れておきたいところです。

和平期待は相場全体を明るくしましたが、お金が向かう先は、やはり成長期待の高いAI関連に集中している、という構図です。


為替トレーダーにとっても、この「株高」は無関係ではありません。

株が上がってリスクオンのムードが広がると、安全資産とされる円は売られやすくなる傾向があるからです。

つまり、ホルムズ再開期待による株高は、巡り巡って円安を後押しする一面もある、というわけですね。

株式市場のムードと為替は、こうして裏でつながっています。



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3. ドル買い・円売りが止まらない — その理由と市場の見方

ここからは、いちばんの焦点である「なぜ円安が止まらないのか」を掘り下げます。

理由は大きく3つに整理できます。


理由①:FOMCの「タカ派」が尾を引いている

最大の理由は、先日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果です。

米国が利上げ方向に傾いたことで、「利息のつくドルを持っておこう」という動きが続いています。

おさらいすると、為替を動かす一番の基本は「国と国との金利差」でした。

米国の金利が上がる(もしくは高いまま維持される)見通しが強まると、日米の金利差は開きやすくなり、ドルが買われて円が売られます。


具体的には、米国の早期利上げ観測がぐっと強まりました。

米スワップ市場が織り込む7月の利上げ確率は4割前後、9月までには9割前後まで上昇しています。

「スワップ市場が織り込む確率」とは、いわば市場参加者全体が見込んでいる利上げの可能性のこと。

9月までに9割、というのは「ほぼ確実に近い」と市場が見ている、ということです。


理由②:日米欧の「金融政策の差」

もう一つのカギが、中央銀行どうしのスタンスの差です。

米国やヨーロッパの中央銀行が「タカ派(引き締めに前向き)」へ傾いているのに対し、日銀の動きはゆっくり。

日銀の10月までの利上げ確率は5割台にとどまっています。

米欧が前のめりで利上げに向かう一方、日本はマイペース。

この差が、円が売られやすい状況をつくっています。


三井住友信託銀行の山本威氏は、「特に新しい材料は出ていないが、FOMCの結果が尾を引いている」と指摘。

米欧の中銀がタカ派化するなか、日銀はビハインド・ザ・カーブ(物価の上昇に政策の対応が後手に回ること)に陥っているとの見方から、「円の下落が止まらなくなっている」と話しています。


さらに山本氏は、ここ数日は当局から強いけん制発言(=「行きすぎた円安は容認しない」といった口先での警告)が出ていないため、「当局が何もしなければ162円近辺をうかがう可能性もある」とも述べています。


ヨーロッパでも、引き締めの空気は続いています。

ECB(欧州中央銀行)のチーフエコノミスト、レーン理事は、先週の利上げがまだ景気を抑えるほどの効果を出していない可能性に言及。

中立金利(景気を冷やしも温めもしない金利水準)の上限が2.5%まで上がっているとの見方を示し、市場では年内あと1回の利上げが想定されています。

レーン氏は「原油価格が下落していても、食品やサービスの価格は上昇する」とし、目標を上回るインフレが長期間続くとみています。

米国だけでなく欧州もタカ派寄り
——この「日本だけがマイペース」という構図が、円安を後押ししているわけですね。


理由③:でも、上値では「介入警戒」がブレーキ

一方で、円安をおさえる力もあります。

それが介入警戒感です。


「為替介入」とは、急すぎる円安(または円高)をおさえるために、国がドルを売って円を買う(あるいはその逆をする)操作のこと。

160円台後半〜161円台は、当局が円買い介入に動いてもおかしくないゾーンです。

市場もそれを意識しているため、円安が一気に加速しにくくなっています。


ここで、野村証券の後藤祐二朗氏の分析が参考になります。

後藤氏は、「介入を期待した円ロング(買い持ち)ポジションが、一部で徐々に積み上がっている可能性」を指摘しています。


少しかみくだくと、こういうことです。

「そろそろ介入が入って円高になるはずだ」と考える人たちが、先回りして円を買い持ちにしている。

ところが、161円95銭や162円といった節目を超えてもなかなか介入が入らないと、その人たちは「もうダメだ」とあきらめて円買いを手放します。

そうしてポジションが軽くなったあとに、当局が介入を発動する
——そんな展開も考えられる、と後藤氏は見ているのです。


さらに後藤氏は、原油価格の調整(下落)が進んだこともあり、「介入があれば、前回の介入に比べてインパクトは大きくなり得る」との見方も示しました。

もし介入が入れば、円高方向に大きく振れる可能性がある、ということですね。


ただし、介入には限界もあります。

今回の円安は「ドルが全面的に強い」ことが主な原因なので、日本が単独で円買い介入をしても、その効果は一時的にとどまるのでは、という声も少なくありません。

介入は、行きすぎた動きのスピードをゆるめることはできても、ドル高という大きな流れそのものを反転させるのは難しい、というわけです。

だからこそ、当局も「いつ、どのタイミングで動くか」を慎重に見極めている、と考えられます。

トレードをする側としては、「介入はいつ入ってもおかしくないが、入っても流れが変わるとは限らない」という、両面を意識しておくのが冷静な構えと言えるでしょう。




4. ヤルデニ氏が読む「ウォーシュ体制のFRB」 — 本気なら利上げも

円安の根っこにあるのは、やはりFRB(米連邦準備制度理事会)の姿勢です。

ここで、ベテラン市場ストラテジストのエド・ヤルデニ氏の見方を紹介します。

今後の米利上げを占ううえで、とても示唆に富む内容です。


「2%目標に本気なら、利上げするしかない」

ヤルデニ氏が特に印象的だったと語るのが、ウォーシュ議長の次の認識です。

われわれは5年以上にわたり、2%のインフレ目標を達成できていない」。


ヤルデニ氏は、ここから一歩踏み込みます。

「利上げをせずに、どうやってそれ(=2%目標)を実現するのか。市場はようやく正しく認識し始めた」

つまり、FRBが本気でインフレを2%に抑え込むつもりなら、利上げという手段を取るしかない——そう市場が気づき始めた、という指摘です。

実際、ウォーシュ議長がインフレを容認しない姿勢を強く打ち出したことで、会見後は米株が下落し、短期国債の利回りは急上昇しました。

市場が「これは本気だ」と受け止めた証拠ですね。


「グリーンスパン氏を思わせる」議長

ヤルデニ氏は、ウォーシュ議長の人物像にも触れています。

あえて曖昧な表現を使うことで知られたグリーンスパン元議長を思わせるとし、「情報はそれほど多くなく、曖昧さがあり、時には驚きもある」と評しました。


議長がドット・プロット(FOMC参加者の金利見通しを点で示した図)への予測提出を見送ったことで、投資家は政策の手掛かりを得られず、より大きな不確実性を織り込まざるを得なくなった、とも指摘しています。

情報が減ることで、相場が読みにくくなっている、というわけですね。

この「読みにくさ」は、これからの相場の値動きを大きくする要因にもなり得ます。


ヤルデニ氏は、ウォーシュ議長が労働市場よりも、インフレや物価安定についてはるかに多く語った点にも注目。

就任当初はトランプ大統領に対してハト派寄り(利下げ容認)の姿勢を見せていた可能性があるものの、その後すぐに「従来のウォーシュ氏」、つまり物価安定を重視するタカ派の姿に戻った、と見ています。


「運よく」利上げを回避できる可能性も

ただし、ヤルデニ氏は別のシナリオも示しています。

それは、ガソリン価格の下落です。

ガソリンが下がれば、総合インフレ率が大きく低下する可能性があります。


その場合、ウォーシュ議長は「運よく」利上げをせずに済むかもしれない、というのです。

原油安が、結果的にFRBの手間を省いてくれる、というわけですね。


さらにヤルデニ氏は、仮に利上げが行われても、0.25ポイントや0.50ポイントなら大きな問題にはならず、むしろそうした利上げが実施されれば債券相場はかえって上昇する可能性がある、との見方も示しました。

「インフレをしっかり抑えにいく」という安心感が、長期の金利を落ち着かせる、という考え方です。

少し意外に感じるかもしれませんが、「利上げ=必ず悪材料」とは限らない、という点は覚えておくと視野が広がりますよ。


為替に引きつけて考えると、ヤルデニ氏の見方はこう整理できます。

FRBが本気でインフレを抑えにいく=利上げ観測が続く=ドル高・円安の力が働きやすい

一方で、ガソリン安などでインフレが自然に下がれば、利上げは見送られ=ドル買いの勢いも一服しやすい。

つまり、これからのドル円を占ううえでは、米国の物価(とくにエネルギー価格)の動きが、大きなカギを握っているわけですね。




5. 氷見野日銀副総裁の発言と、市場の受け止め

最後に、日本側の動きも押さえておきましょう。

6月19日、日銀の氷見野良三副総裁が、重要な発言をしました。


「物価には上振れリスク」「利上げを続ける」

氷見野副総裁は、半期に一度の報告書(半期報告)を衆議院の財務金融委員会で説明しました。

本来であれば植田和男総裁が対応するところですが、入院中のため、氷見野副総裁が出席した形です。


発言のポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 基調的な物価上昇率が、2%の物価目標を超えて上振れるリスクがある
  • 経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き利上げで金融緩和の度合いを調整していく
  • 利上げの時期やペースは、見通しやリスクを点検して検討する
  • 当面は、中東情勢が金融市場や経済・物価に与える影響を注視する
  • 物価の先行きは、2%をはっきり上回る水準に伸びを高める
  • 基調的な物価は、26年度後半から27年度にかけて、目標と整合的になる
  • 今後の為替変動が経済・物価に及ぼす影響にも留意する


全体として、インフレへの対応を重視し、利上げ路線を続けるという姿勢がにじむ内容でした。

日銀が16日に31年ぶりとなる1.0%への利上げを決めたことと合わせて、市場の焦点は「追加利上げの時期とペース」に移っています。


市場の受け止め — 円安が日銀の背中を押す?

この発言を、市場はどう受け止めているのでしょうか。

ポイントは、円安が進むほど、日銀の早期利上げ観測が高まりやすいという関係です。

円安は、輸入するモノの値段(輸入物価)を押し上げ、国内のインフレを加速させる要因になります。

そのため、円安が行きすぎれば、日銀が物価を抑えるために利上げを早める、という連想が働くんですね。


実際、債券市場では「円安が進んでおり、日銀の早期利上げ観測が高まりやすい」(東海東京証券の佐野一彦氏)との見方から、債券が売られて金利が上昇しています。

佐野氏は、残存期間5年超11年以下を対象とした流動性供給入札も、債券相場の多少の重しになると予想しています。

氷見野副総裁が「為替変動の影響に留意する」と述べたことも、こうした観測を後押ししています。


ここで「債券が売られると金利が上がる」という関係も、押さえておきましょう。

債券は、人気がなくなって価格が下がると、その分だけ利回り(金利)が上がる、という仕組みになっています。

「日銀が利上げするなら、いまの低い金利の債券は魅力が薄れる」と考えられて売られ、金利が上昇しているわけですね。


つまり、円安 → 日本のインフレ懸念 → 日銀の利上げ前倒し観測 → 日本の金利上昇、という連鎖が意識され始めている、ということです。

米国だけでなく、日本側の金利の動きにも目を配っておきたいところですね。


ここで少し立ち止まって考えると、面白い関係が見えてきます。

いまの円安は「米国の利上げ観測」が主な原因ですが、その円安が今度は「日本の利上げ観測」を高めている。


日米の金融政策が、円安を通じてつながっているわけです。

もし日銀の利上げ観測が一段と強まれば、それは円高方向の力になります。

円安が、巡り巡って円高の種をまいている
——そんな視点でも相場を眺めてみてください。





総括 — いま相場を動かす要素と、トレードの注意点

最後に、今回の内容をぎゅっとまとめて、今後のドル円で気をつけたいポイントを整理します。


いま相場を動かしている3つの力

  1. ドル高(米国の早期利上げ観測) FOMCのタカ派姿勢が尾を引き、7月利上げ観測も浮上。ドルが全面的に買われ、円安の最大の原動力になっています。

  2. リスク選好(ホルムズ再開期待) 中東の緊張緩和で投資マネーが株式へ。日経平均は7営業日続伸し、AI・半導体株が相場を引っ張っています。

  3. 介入警戒(日本の通貨当局) 24年安値の161円95銭が目前。当局がいつ動いてもおかしくない水準で、円安の上値を抑える「ふた」になっています。


トレードで気をつけたい3つのこと

① 161円95銭・162円は「重要な節目」と心得る
24年安値を下回ると、約40年ぶりの円安水準。

介入が意識される一方、節目を超えてポジションが軽くなったあとに介入が入る、というシナリオも指摘されています。

この水準帯は、上下どちらにも大きく動きやすいゾーンだと意識しておきましょう。


② 円安方向に傾けるなら、急反転に備える
介入が入れば、円高方向に大きく振れる可能性があります。

しかも今回は「前回よりインパクトが大きくなり得る」との見方も。

円安ポジションを持つなら、損切りラインを決めておくなど、リスク管理を忘れずに。


③ 「米国の利上げ観測」と「日本の物価」を両にらみで 

ドル円は、米国の利上げ観測(ドル高要因)と、日本のインフレ・日銀の利上げ観測(円高要因)の綱引きで動いています。

米国の経済指標だけでなく、日本のCPIや日銀関係者の発言にも目を配ると、相場の方向感がつかみやすくなりますよ。


④ 当局の「けん制発言」に耳を澄ます 
介入の前には、財務省などから「行きすぎた動きには適切に対応する」といったけん制発言が出ることが多いものです。

こうした発言のトーンが急に強まったら、介入が近いサインかもしれません。

ニュースのヘッドラインに、ふだんよりアンテナを張っておきましょう。




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相場はいま、「利上げに傾く米国」「再開に向かう中東」「介入をうかがう日本」という3つの力が、同時に働いています。

それぞれが「いま、どちらに動こうとしているのか」を落ち着いて見極めること
——それが、これからのトレードで結果を分けていくはずです。

24年安値という歴史的な節目を前に、当局の動きと重要指標を、ぜひこの記事の視点といっしょに見守ってみてくださいね。



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