ドル円161円台半ばで神経質|米イラン和平協議スタートもホルムズ封鎖表明、日銀・FRBの金融政策見通しをやさしく解説

 










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米国とイランがスイスで和平協議を始めた一方、イランは「ホルムズ海峡を再び封鎖する」と表明し、トランプ大統領は再攻撃を警告——。 

中東はふたたび緊張感が高まっています。 

 

ドル円は161円台半ばで、約2年ぶりの安値圏。 

「いま相場で何が起きているの?」 

「日銀やFRBはこれからどう動く?」 

「ポンドが売られているのはなぜ?」 

——この記事を読めば、その答えがすっきり整理できます。 

 

むずかしい言葉は一つずつかみくだいていくので、どうぞ気楽に読み進めてくださいね。



 

まずは全体像から(先に結論をお伝えします)

細かい話に入る前に、いま相場で起きていることをざっくりつかんでおきましょう。

ポイントは4つです。

  1. 米イランは和平協議を開始したが、緊張は再燃
    — イランのホルムズ封鎖表明とトランプ氏の再攻撃警告で、先行きは不透明です

  2. ドル円は161円台半ば・約2年ぶり安値圏で神経質な動き
    — 有事のドル買いと介入警戒のせめぎ合いです

  3. 日銀には「正常化は時間との戦い」との見方
     — 高市首相の発言と、利上げ反対票が一つの焦点に

  4. FRBは利上げ観測を維持
    — 25日の重要指標(PCE)がインフレ加速を示す見通しです

加えて、英国ではスターマー首相の辞任観測でポンドが売られやすくなっています。

それでは、一つずつ見ていきましょう。


これまでの流れを、かんたんにおさらい

ここ1週間の出来事を時系列で振り返ると、今の相場がぐっと理解しやすくなります。

  • 6月16日:日銀が31年ぶりとなる1.0%への利上げを決定(ただし1人が反対票)

  • 6月17日:FOMCは金利据え置きも「タカ派」と受け止められ、米イランは暫定和平合意に署名(60日間の交渉期間)

  • 6月18日:米利上げ観測でドル円が約2年ぶり安値161円81銭をつける

  • 6月19日:ホルムズ再開期待でいったんリスク選好が強まる

  • 6月20〜21日:イランがホルムズ再封鎖を表明、米イランはスイスで和平協議を開始、トランプ氏は再攻撃を警告

  • 6月22日(今回):緊張を見極める展開。ドル円は161円台半ばでもみ合い


「いったん和平に向かったかに見えたが、また緊張が高まった」
——これが今の局面です。それでは、今日の動きを順番に見ていきましょう。




1. ドル円は161円台半ば — 約2年ぶり安値圏での神経質な動き

まずは足元の相場から。

6月22日、ドル円は1ドル=161円台半ばで推移しています。

先週18日につけた約2年ぶりの安値「161円81銭」が、すぐ近くに見える水準です。


おさらいすると、161円81銭を下回ると、いよいよ約40年ぶりの円安水準に入ることになります。

歴史的な節目を前に、相場はとても神経質になっているんですね。


動かしているのは「有事のドル買い」と「介入警戒」

いまドル円を動かしている力は、大きく2つです。

ひとつは、有事のドル買い。中東の緊張が高まると、世界の投資家は「とりあえず安全とされるドルを持っておこう」と動きます。

これがドル高(=円安)の方向に働きます。

今回は米イラン協議が難航するとの見方から、このドル買いが優勢になっています。


もうひとつは、介入警戒感

161円81銭や162円といった節目に近づくほど、「日本の通貨当局が円買い介入に動くのでは」という警戒が強まり、円安の上値を抑えます。

この2つがせめぎ合うことで、ドル円は一方向に走らず、「介入を警戒しながらの神経質な値動き」(野村証券の後藤祐二朗氏)になっています。

上にも下にも振れやすい、気の抜けない局面というわけですね。


「介入」という言葉が何度か出てくるので、ここで簡単に整理しておきましょう。

為替介入とは、行きすぎた円安(や円高)をおさえるために、国(財務省)が市場で通貨を売買すること。

円安をおさえたいときは「ドルを売って円を買う」ので、円買い介入と呼ばれます。


介入が入ると、ドル円は急に円高方向へ動くことがあります。

だからこそ、円安方向にポジションを持っているときは、突然の反転に注意が必要なんですね。


「162円」は特に意識される節目

市場関係者が特に注目しているのが、162円という水準です。

SBI FXトレードの上田真理人氏によると、162円近辺には「円売りオプション」がたまっているとのこと。

少しむずかしい話ですが、ざっくり言えば、162円を超えると円安に勢いがつきやすい仕掛けが、相場の裏側にあるということです。


上田氏は、もし162円を突破すれば、「介入を期待してドル売り持ち(円買い)にしている個人投資家の損切りも出て、円安に勢いがつく可能性もある」と指摘しています。

「そろそろ介入で円高になるはず」と見て円を買っていた人たちが、円安に押されて買いをあきらめると、その分さらに円安が進む、という連鎖ですね。

節目の突破は、こうした「ドミノ倒し」を引き起こすことがあるので、要注意です。




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2. 米イラン、スイスで和平協議 — でも緊張は再燃

次に、いま相場の最大のテーマである中東情勢を見ていきましょう。

話は「和平」と「緊張」が同時に進む、複雑な展開になっています。


スイスで和平協議がスタート

まず前向きな動きから。

米国とイランは21日、スイスのリゾート地ビュルゲンシュトックで、包括的な和平協議を開始しました。

イランの核問題の解決と、ホルムズ海峡の恒久的な開放を目指すものです。

米国側はバンス副大統領、イラン側はアラグチ外相が出席し、仲介国であるカタールとパキスタンも参加しました。

ただし、バンス副大統領は「きょうは意見の相違を全て解決する場ではなく、実務レベルの交渉を始める第一歩だ」と説明。

つまり、これは長い交渉の出発点にすぎず、すぐに全てが解決するわけではない、ということですね。

17日に署名された覚書では、60日間の交渉期間が設けられています。


一方で、緊張が再燃 — 3つの火種

ところが、協議と並行して、緊張を高める出来事が相次ぎました。

初心者の方にも分かりやすいよう、3つの火種に整理します。

火種①:イランが「ホルムズ海峡を再び封鎖する」と表明
イランは20日、イスラエルがレバノンでの停戦に違反したと非難し、世界のエネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡を再び閉鎖すると表明しました。

火種②:トランプ大統領が「再攻撃」を警告
トランプ大統領は、レバノンの親イラン派武装組織ヒズボラがイスラエルへの攻撃を続けるなら、対イラン攻撃に再び踏み切る可能性があると警告。
さらに、イランと合意できなければ、米国がホルムズ海峡の通航料徴収を始めるかもしれない、とも述べました。

火種③:レバノン情勢が最大の焦点
協議の成否を握る最大のポイントが、レバノンでの戦闘終結です。
イスラエルは「ヒズボラが脅威でなくなるまで撤退しない」(カッツ国防相)方針を示しており、トランプ氏もイスラエルの攻撃が協議を損なうと不満を漏らしています。
イスラエルの協力が得られるかが、和平の前進を左右します。

市場参加者の見方 — 「封鎖表明は実効性が薄い?」

ここで興味深いのが、市場の冷静な受け止め方です。

大和証券の細井秀司氏は、寄り付き(取引開始)では株が暴落する可能性も想定していたものの、市場はイランのホルムズ封鎖表明には実効性がないと見透かしているようだと指摘しました。


実際、データもそれを裏付けています。

イランが封鎖を表明したあとも、ホルムズ海峡では数百万バレルの原油が通過し続けました。

米中央軍は20日、商船55隻が1700万バレル超の原油を運んだと発表しています。

つまり、「封鎖する」という言葉ほどには、実際の航行は止まっていない、というわけですね。

船舶の追跡データでも、いったん海峡通過を試みた大型タンカーが、イランが承認した航路を使って航行を続けたとみられる動きが確認されています。


そのため日本株は、下落して始まったあと上昇に転じ、日経平均は一時600円超上げる場面もありました。

細井氏は、マクロ環境にかかわらず業績が堅調なAI・半導体株が買われている、とも話しています。

中東リスクがくすぶるなかでも、相場の主役はやはりAI、という構図は変わっていません。


なお、今回の和平協議には、もう一つ見落とせないポイントがあります。

それは、イスラエルが協議に参加していないことです。

レバノンでの戦闘終結が協議の成否を握るにもかかわらず、当事者であるイスラエルが交渉のテーブルにいない
——ここに、合意の難しさが表れています。

米国のクシュナー氏らが実務協議を続けていますが、米国とイランの間には認識や期待のギャップが大きく、溝を埋める作業が交渉を複雑にしている、と関係者は指摘しています。


ただ、為替市場では「協議は難航する」との見方から有事のドル買いが優勢。

SBI FXトレードの上田氏は、「レバノンでの戦闘継続で両国が態度を硬化させており、先行きが見通せない」と語っています。

なお、トランプ氏の再攻撃警告を受けて、原油価格は反発(ブレント原油が一時2.2%上昇)。

インフレへの警戒感も、再びくすぶり始めています。


介入は「出るに出られない」?

円安が進むなか、為替介入への関心も高まっています。

片山さつき財務相は22日、為替について「必要に応じていつでも適切に対応する」と述べましたが、市場の反応は限定的でした。


SBI FXトレードの上田氏は、介入について鋭い指摘をしています。

「やってもドル高のトレンドを変えることはできないため、当局も出るに出られないのではないか」。

今回の円安は「ドルが全面的に強い」ことが主因なので、日本が単独で円買いをしても流れを反転させるのは難しい
——だからこそ、当局も動くタイミングを慎重に見極めている、という見方です。

「介入はいつ入ってもおかしくないが、入っても流れが変わるとは限らない」

この両面を意識しておくのが、冷静な構えと言えそうです。




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3. 高市首相の日銀発言と「反対票」が示す懸念 — 正常化は時間との戦い?

ここからは、日本の金融政策に目を向けます。

実は今、日銀をめぐって、為替トレーダーが見逃せない構図が生まれています。


高市首相、日銀に「政府と密接な連携」を求める

高市早苗首相は22日、衆院予算委員会で、日銀に対し「政府と密接に連携を図って、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を行うことを期待している」と述べました。


一見すると、当たり障りのない発言に見えます。

ただ、市場はこの言葉を少し注意深く受け止めています。


なぜなら、高市首相はハト派(金融緩和に前向き)とみられているからです。

「政府と密接に連携を」という言葉が、日銀の利上げ路線への、やんわりとした制約として働く可能性があるんですね。


「反対票」が示す、もう一つの懸念

もう一つの焦点が、6月16日の日銀会合で投じられた利上げへの反対票です。

反対したのは、浅田統一郎審議委員。

実はこの浅田氏、高市首相が指名した初の日銀審議委員で、金融緩和を支持するハト派として知られています。

たった1票ですが、これが今後の日銀の方向性を占ううえで、大きな意味を持つ可能性があります。


ここで、日銀の「勢力図」が今後どう変わりそうかを整理してみましょう。

  • 今月末:中川順子委員の任期満了に伴い、高市政権が任命した別のリフレ派(緩和重視)が就任予定

  • 約1年後:最もタカ派とされる委員2人(高田創氏・田村直樹氏)が任期満了を迎える

  • ハト派とみられる高市首相は、その後任も指名できる

つまり、時間が経つほど、日銀の政策委員会はハト派(緩和寄り)に傾いていく可能性がある、というわけです。


市場参加者の見方 — 「正常化は時間との戦い」

この構図を、専門家はどう見ているのでしょうか。

シティグループ証券の中村颯介氏は、浅田氏の反対票は「今後の政策パスにとって重要なハト派材料」と指摘。

タカ派の2人が来年7月に退任したあと「再びハト派のメンバーが送り込まれる可能性は高く、その場合、勢力は一気にハト派に傾く」と見ています。


三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美氏も、「日銀が中立金利に向かって利上げを進められる時間も、それほど長くないかもしれない」と指摘。

「来年夏までに、できるだけ緩和度合いを縮小していくのではないか」との見方を示しました。


少しかみくだくと、こういうことです。

日銀がインフレに対応して利上げを進めたいなら、メンバーがタカ派のうちに動いておく必要がある

だからこそ「正常化は時間との戦い」と言われているわけですね。


ただし、話はそう単純でもありません。

審議委員の見方は、就任後に変わることもあるからです。

たとえば6月に退任する中川順子委員は、2021年の就任当初は中道寄りのハト派とみられていましたが、4月の会合で初めて利上げを支持し、投資家を驚かせました。

「ハト派として送り込まれても、経済や物価の状況次第で考えが変わる」
——浅田氏も就任して数カ月。今後の判断は、まだ固まっていない可能性もあります。


また、高市首相が自分と考えの近い人物だけで委員会を固められるかというと、そこにも制約があります。

たとえばタカ派の田村氏は銀行業界の出身で、この業界には長年の低金利環境を問題視してきた経営者が少なくありません。

後任に大手銀行出身者を起用しないと慣例から外れてしまうため、首相の人選にも一定の枠がある、というわけですね。


円安が、日銀の背中を押す可能性も

一方で、円安そのものが日銀を動かす、という見方もあります。

円安が進めばインフレが加速し、家計の負担が増します。

政府も、日銀の行動を縛りすぎれば円安をさらに加速させかねないため、難しい立場です。


実際、米財務長官のベッセント氏は、日銀により速いペースでの利上げを望むような姿勢を示しています。

東短リサーチの加藤出氏は、「高市政権との摩擦は今後も続き、利上げペースが急に速まる可能性は低い」としつつ、「海外の中銀が利上げに傾くなかで円安圧力は高まりやすい」と分析。

次の利上げは10月とみています。


ここで面白いのは、日銀が国内外から逆方向の圧力を受けている点です。

国内では、6月会合の直前に城内実経済財政担当相が「政府と緊密に連携してほしい」と述べるなど、政府からは緩和を意識した声がかかりやすい。


一方、海外では米財務長官のベッセント氏が「日銀に裁量の余地を与えてほしい」と日本政府に呼びかけ、より速い利上げを後押しするような姿勢を見せています。

利上げを急ぎたい海外勢と、慎重でいてほしい国内勢——その板挟みのなかで、日銀がどう舵を取るかが、円相場を左右していくわけですね。


なお、6月会合後のブルームバーグ調査では、エコノミストの5割強が次回利上げを12月、36%が10月と予想。

利上げの最高到達点(ターミナルレート)の予想は1.75%へと上昇しています。

市場では、利上げの時期とペースに関心が集まっています。


こうした見方を背景に、債券市場では売りが先行しています(売られると利回りは上昇)。

22日には、新発10年債利回りが前週末比3bp高い2.675%をつけました。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介氏は、「米国とイランの溝は大きく、和平協議の先行きに不安が残る」としたうえで、円安基調によるインフレ懸念や、日銀の対応が後手に回るビハインド・ザ・カーブへの懸念が、債券相場の重しになると指摘。


24日に日銀会合の「主な意見」が公表されることや、25日に20年国債入札を控えていることも、「買いにくさにつながる」と話しています。

日本の金利の動きも、円相場のヒントになるのでチェックしておきたいですね。





4. FRB重視の指標がインフレ加速の見通し — 利上げ観測を裏付け

円安の根っこにある米国の金融政策も、しっかり押さえておきましょう。

カギを握るのが、25日に発表される重要なインフレ指標です。


25日のPCE価格指数に注目

FRB(米連邦準備制度理事会)が最も重視するインフレ指標が、個人消費支出(PCE)の価格指数です。

25日に発表される5月分は、前月比・前年比ともに伸びが加速すると予想されています。


これは、インフレの高止まりを示すデータが相次いだ1カ月を締めくくるもの。

エネルギー価格の上昇が、経済全体に広がっている状況がうかがえます。

もしこのPCEが強い内容となれば、「やはり米国はインフレが収まっていない=利上げが必要」という見方を、さらに後押しすることになります。


市場参加者の見方 — 「タカ派姿勢を裏付ける」

ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン氏らは、「6月のFOMCでは、半数がより引き締め的な政策の道筋を支持し、市場にタカ派的な衝撃を与えた」と分析。


そのうえで、「ウォーシュ議長はドット・プロットに自身の予測を提出しなかったが、記者会見での発言は明らかにタカ派的だった。

PCE価格指数が強い内容となれば、そのタカ派姿勢を裏付ける可能性が高い」と指摘しています。


つまり、25日のPCEは「米国の利上げが本当に近いのか」を占う、大事な答え合わせになるわけですね。


当局者の発言にも注目

ウォーシュ議長は17日の会見で、今後の見通しの手掛かりとなる発言を避けました。

情報発信を減らす新しいFRBのもとでは、議長以外の当局者の発言が、いっそう重要なヒントになります。


今週は、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が25日に基調講演、シカゴ連銀のグールズビー総裁も同日に登壇、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が26日にパネル討論に参加する予定です。


彼らの発言が「タカ派寄りか、ハト派寄りか」で、相場が動く可能性があります。

重要指標と当局者発言が重なる週なので、ドル円も振れやすくなりそうです。


このほか米国では、24日に5月の新築住宅販売、25日に耐久財受注、26日に消費者マインド指数(確報値)などの発表が控えています。

さらに、日本・英国・カナダ・オーストラリアでもインフレ統計やPMI(購買担当者景気指数)が予定され、ECBのラガルド総裁の議会証言もあります。


世界中で重要指標が立て込む一週間なので、為替全体が動きやすい点は頭に入れておきましょう。

一つひとつの指標が、各国の金融政策の方向性を映す手掛かりになります。





5. 英スターマー首相、辞任の可能性 — ポンドへの影響は?

最後に、もう一つの注目材料を見ておきましょう。

ドル円とは別の通貨ですが、為替市場全体に関わる動きです。

それが、英国のスターマー首相の辞任観測です。


数日以内に辞任日程を提示か

スターマー英首相の側近らは、同氏が数日以内に首相退任に向けた日程を示すとみています。

退任が実現すれば、英国ではこの10年で7人目の首相が誕生することになります。


背景にあるのが、ライバルであるバーナム・マンチェスター市長の存在です。

バーナム氏が下院の補欠選挙で勝利し、国政に復帰する道が開かれました。

右派ポピュリスト政党「リフォームUK」に対抗できる人物だとの見方が、与党・労働党内に広がっています。


側近のカイル・ビジネス貿易相は、スターマー氏が「政治的現実」を踏まえて熟考していると述べています。

すでに、首相に忠誠を誓う閣僚の多くも、交代は避けられないとの認識を伝えていると報じられており、辞任は時間の問題との空気が強まっています。


ポンドへの影響 — 政治の不透明感は通貨安要因

こうした政治の動きは、通貨にどう影響するのでしょうか。


一般に、政治の先行きが不透明になると、その国の通貨は売られやすくなります

「これからどうなるか分からない」という不安が、投資家にその国の通貨や資産を手放させるからです。

今回も、スターマー首相の退任報道を受けて、英ポンドが売られやすい展開になっています。


初心者の方が押さえておきたいのは、為替は「2国間の力比べ」だということ。

ドル円なら米国と日本、ポンドドルなら英国と米国、というように、通貨は常にペアで動きます

英国の政治が不安定になればポンド全体が弱含みやすく、それはポンド円やポンドドルといったペアにも表れます。

直接ドル円を取引していなくても、こうした他国の動きが為替市場全体のムードに影響することは、覚えておくとよいでしょう。


さらに今週は、英国でもインフレ統計やPMI(景気の体温計のような指標)の発表が控えています。

政治の不透明感に経済指標が重なると、ポンドの値動きはいっそう大きくなりやすい点に注意が必要です。

「政治」と「経済指標」、2つの材料がポンドに同時にのしかかる週、とイメージしておきましょう。

なお、こうした特定の国の政治イベントは、慣れないうちは無理に取引しようとせず、まずは「相場全体のムードを左右する材料」として眺めるだけでも十分です。





総括 — いま相場を動かす要素と、トレードの注意点

最後に、今回の内容をぎゅっとまとめて
今後のドル円で気をつけたいポイントを整理します。


いま相場を動かしている4つの力

  1. 中東情勢(米イランの緊張再燃)
    和平協議は始まったものの、ホルムズ封鎖表明や再攻撃警告で先行き不透明。
    有事のドル買いと原油反発を通じて、相場に影響しています。

  2. 米国の金融政策(利上げ観測の継続)
    FOMCのタカ派姿勢に続き、25日のPCEがインフレ加速を示す見通し。
    ドル高・円安の最大の原動力です。

  3. 日本の金融政策(正常化は時間との戦い)
    高市首相の発言と利上げ反対票で、日銀がハト派に傾く懸念も。
    一方で円安がインフレを通じて利上げを促す可能性もあり、綱引きが続きます。

  4. 介入警戒(日本の通貨当局)
    161円81銭・162円が目前。
    当局がいつ動いてもおかしくない一方、「ドル主導では効果が限られる」との見方もあります。



トレードで気をつけたい3つのこと

① 162円は「ドミノ」に注意の節目
162円には円売りオプションがたまっており、突破すると損切りを巻き込んで円安に勢いがつく可能性があります。

一方で介入が意識される水準でもあり、上下どちらにも大きく動きやすいゾーンです。


② 中東ニュースは「原油価格」で確認する
封鎖表明や攻撃警告といったニュースの実効性は、原油価格の反応を見ると判断しやすくなります。

言葉だけで動くより、実際に原油が上がるかどうかをチェックしましょう。


③ 25日のPCEと当局者発言に備える
PCEが強ければ米利上げ観測が一段と強まり、ドル高・円安が進みやすくなります。

重要指標の発表前後は、いつもより慎重なリスク管理を心がけたいですね。




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【付録】この記事に出てきた用語を、やさしくおさらい

読み返しのおともに、本文に登場した大事なキーワードをまとめました。

  • 有事のドル買い:戦争や紛争など不安が高まったとき、安全とされるドルが買われる動きのこと。

  • ホルムズ海峡:世界の原油輸送の大動脈となっている海の要衝。封鎖が現実になれば原油が急騰します。

  • 為替介入:急すぎる為替変動をおさえるため、通貨当局が市場でドルや円を売買すること。

  • 円売りオプション:円安が進むと利益が出るように設計された取引。特定の節目にたまると、相場の動きを加速させることがあります。

  • 損切り:思惑と逆に動いたとき、損失の拡大を防ぐためにポジションを手放すこと。連鎖すると相場が一方向に走る一因になります。

  • タカ派/ハト派:引き締め(利上げ)に前向きが「タカ派」、緩和(利下げ)に前向きが「ハト派」。

  • リフレ派:金融緩和を続けて、ゆるやかな物価上昇を目指す立場の人。ハト派の一種です。

  • ビハインド・ザ・カーブ:物価上昇などの変化に対して、金融政策の対応が後手に回ってしまう状態。

  • 中立金利(ターミナルレート):景気を冷やしも温めもしない金利水準。利上げの最終到達点の目安にもなります。

  • PCE価格指数:FRBが最も重視するインフレ指標。物価の動きを見る代表的なデータです。

  • ドット・プロット:FOMC参加者が将来の政策金利をどう見ているかを点で示した図。

  • 通貨ペア:為替は常に2国間の力比べ。ドル円、ポンドドルのように、必ずペアで動きます。



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相場はいま、「緊張がくすぶる中東」「利上げに傾く米国」「ハト派に傾きかねない日本」「政治が揺れる英国」という、いくつもの力が同時に働いています。

それぞれが「いま、どちらに動こうとしているのか」を落ち着いて見極めること
——それが、これからのトレードで結果を分けていくはずです。

161円81銭という歴史的な節目と、25日のPCEを前に、当局の動きと重要指標を、ぜひこの記事の視点といっしょに見守ってみてくださいね。



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