ドル円が一時159円台、米30年債は2004年以来の高水準|FRB高官4人が相次ぎ追加利上げに言及
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円が一時159円04銭まで下落し、9月2日以来の安値をつけました。160円の節目が再び視野に入っています。
背景にあるのは米金利の上昇です。30年債利回りは約5.5%と、2004年以来の高水準に達しました。
FRB高官が相次いでタカ派的な発言を続けています。何が起きているのかを整理します。
今日のポイント
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ドル円は158円台後半。24日には一時159円04銭まで下落しました
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米30年債利回りが約5.5%と2004年以来の高水準。金利上昇がドルを押し上げています
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FRB高官4人が相次いで追加利上げに言及。10月の利上げ確率は約65%へ
1. ドル円は158円台後半、一時159円台へ
円は24日のニューヨーク市場で一時0.5%安の159円04銭まで下落しました。9月2日以来の安値です。その後は158円台後半まで下げを縮めています。
今月8日には152円89銭まで円高が進んでいました。そこから約6円の円安です。
株式市場では銀行株が買われています。米国で連続利上げの観測が強まり、金利上昇の恩恵を受けやすいためです。一方、債券先物は下落しました。
市場参加者の見方
三井住友信託銀行の山本威氏は、足元の米経済指標が比較的強く、FRB高官からのタカ派なメッセージが続いていることがドルと金利の上昇につながっていると指摘。
ただし、「ドル円は200日移動平均を超えて上昇スピードもかなり速かったため、介入への警戒も残り、上値が若干重くなるのではないか」とも述べています。
野村証券の後藤祐二朗氏は、原油が続伸するなかFRBの10月利上げ期待が高まり「ドルが買い戻されやすい地合いが続く」と指摘。そのうえで、片山財務相の口先介入が出るなか「円安抑制・債券市場安定に向けた当局対応」が焦点になるとしました。
2. 米金利が押し上げている構造
30年債は2004年以来の高水準
24日の米国債市場では、すべての年限で利回りが上昇しました。
特に30年債利回りは一時約10ベーシスポイント上昇し、約5.5%と2004年以来の高水準に達しています。
主要な国債市場の平均利回りも、2007年以来となる4%に上昇しました。
金利が上がる2つの理由
上昇の背景には、性質の異なる2つの要因があります。
ひとつは、原油高によるインフレ懸念です。中東情勢を背景に原油が高止まりし、物価上昇圧力が続くとの見方が広がっています。
もうひとつが、財政への懸念です。日米ともに財政拡張を志向しており、国債の増発が意識されています。
東海東京証券の佐野一彦氏は、日本の債券相場について、財政拡張を志向する日米両首脳の政策に起因する金利高はなかなか止まらないとみています。
「タガが外れた」という指摘
興味深い分析があります。
マーケットコンシェルジュの上野泰也氏は、ウォーシュFRB議長が行動でインフレファイターとしての存在感を示せば米長期金利の上昇に歯止めがかかる、という見方には明らかに無理があったと指摘。
実際には逆に「タガが外れた」状況で、グローバルな長期金利上昇に拍車がかかっているとリポートに記しました。
つまりどういうことか
補足すると、こういう構図です。
利上げは通常、インフレを抑えるため長期金利を落ち着かせる効果が期待されます。しかし今回は、FRBが利上げしたことで「まだ利上げが続く」との見方が強まりました。
その結果、短期金利だけでなく長期金利まで上昇しています。インフレ抑制への安心感よりも、追加利上げへの警戒が上回った形です。
FXへの影響としては、日米の金利差が縮まるどころか拡大しやすい環境だということです。日銀が1.25%へ利上げしても、米国が4%台からさらに上げるなら差は開きます。
3. FRB高官4人が相次いで追加利上げに言及
ここ数日、複数の高官が同じ方向のメッセージを発しています。
フィラデルフィア連銀ポールソン総裁
ポールソン総裁は24日、「この先の状況が私の予想通りに推移すれば、さらに小幅な引き締めが正当化される可能性がある」と述べました。
同氏は今年のFOMCで投票権を持つ人物です。エネルギーと食品を除く基調的なインフレ指標が「頑強に高止まりしている」として、9月の利上げが必要だったとの見解も示しました。
米経済については、ショックに対して底堅く、生産の伸びは堅調で、労働市場は完全雇用に近いとして「勢いが増している」兆しがあると評価しています。
クリーブランド連銀ハマック総裁
ハマック総裁は同日、「インフレ見通しは引き続き極めて不確実性が高く、リスクは上振れ方向に傾いている」と述べました。
注目すべきは、ショックの性質に関する指摘です。
「関税や原油価格を通じた供給側のショックに加え、AI関連の設備投資ブームによる需要側のショックもある」
そのうえで、金融政策は供給ショックを一時的なものとしてやり過ごすべきだというのが従来の考え方だとしつつ、「ショックが起きやすい環境にある場合や、インフレが長年にわたって高止まりする中でショックが次々と生じる場合には、インフレ心理が定着するリスクが高まる」と語りました。
さらに、「高インフレは長引けば長引くほど、それを元の水準に戻すことがより困難になり、代償も大きくなり得る」とも述べています。
リッチモンド連銀バーキン総裁
バーキン総裁は、幅広いコスト上昇圧力が長引いていることで、米国のインフレが定着するリスクが高まったと指摘しました。
「ガソリン価格を巡る今の状況がしばらく続くということが、私にも、そして恐らく他の人にも、かなり明確になった」
関税も「しばらく続く」とし、AIインフラの構築も需要を押し上げていると付け加えています。
「医療費や輸送費、ディーゼル燃料もしかりだ。コスト上昇の要因は数多くある。インフレが比較的速やかに低下しないのであれば、現実を直視し、インフレがしばらく続いていると認識せざるを得ない」
ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁
23日には、ウィリアムズ総裁が根強く残るインフレリスクへの対応について、自身と同僚には「まだやるべきことが多い」と発言しました。
同氏はこれまでハト派寄りの見方を示してきた人物です。前回、発言内容によってはドルの方向が変わる可能性があるとお伝えしましたが、結果はタカ派方向でした。
FXへの影響
これだけ足並みがそろうと、市場の織り込みも変わります。
投資家が見込む10月の利上げ確率は、先週末の53%から約65%へ上昇しました。次回のFOMCは10月27日と28日で、中間選挙の6日前にあたります。
日銀が9月に利上げしたものの、次は12月というのが市場の見方です。その間に米国が10月に利上げすれば、金利差は再び拡大します。
これが、日銀の利上げ後も円安が続いている理由です。
4. 160円と介入警戒
意識される水準
160円の節目が再び視野に入り、介入リスクが改めて意識されています。
バンク・オブ・ナッソー1982のウィン・シン氏は、「1ドル160円に近づくにつれて、当局による口先介入が強まるだろう。ドル円相場が160円を超えれば、さらなる為替介入が行われる可能性もある」と述べています。
シティグループのダニエル・トボン氏の指摘は、より実務的です。
「円が159円を超えて下落し始めれば、当局が動くリスクは高まる。そのため、市場参加者は159円から160円を超える円安水準での円ショート維持には消極的になるだろう」
つまり何が起きるか
この見方が示すのは、159円から160円にかけて円売りが減速しやすいということです。
介入リスクを警戒する参加者が、その水準では円売りポジションを持ちたがりません。買い手が減れば、上昇の勢いも鈍ります。
一方で、そこを明確に超えれば、警戒していた参加者が諦めて追随する可能性もあります。
FXへの影響としては、159円台では上値が重くなりやすい一方、突破した場合は動きが加速しやすい、という構造です。
前回お伝えしたとおり、介入の可能性に備えた損切り注文も集中しています。どちらに動くにせよ、値動きは荒くなりやすい水準です。
5. 米イランが段階的な合意を模索
中東情勢では、外交面の動きが報じられました。
米国とイランの交渉担当者は、イランがホルムズ海峡の通航を再開し、米国がイランの港湾に対する海上封鎖を解除する方向で、段階的な合意を模索しています。カタール当局者が交渉を仲介しているとされます。
段階的な合意は、両国が6月半ばに締結した覚書と似た形になる見通しです。
ただし懐疑的な見方が根強い
注意したいのは、その覚書を受けて成立した停戦が、わずか数週間後に崩壊した経緯があることです。
イランのペゼシュキアン大統領は演説で、制裁と米国による海上封鎖が続く限り、イランはホルムズ海峡での航行の自由を認めないと強調しました。
イラン側が示した条件には、米国による海上封鎖の即時解除、イラン資産の凍結解除、「あらゆる戦線」での戦争終結が含まれます。
一方、ホワイトハウス当局者は、トランプ大統領は対話に前向きだとしつつ、米国は交渉する必要はないと強調しました。制裁強化と海上封鎖がイラン経済に圧力をかけており、米国が有利な立場にあるためだと説明しています。
なお、サウジアラビアは24日、フーシ派から再び攻撃を受けました。紅海沿岸の港湾都市ヤンブーなどに向けて発射された弾道ミサイル6発を迎撃したとしています。
FXへの影響
合意が実現すれば原油が下落し、インフレ懸念が和らぎます。米金利の低下を通じて、ドル高圧力も弱まります。
ただし通航再開への懐疑的な見方は根強く、24日の原油先物は急伸しました。
期待だけで動かず、実際に通航が正常化するかを確認する姿勢が求められる局面です。
6. ECB幹部人事の刷新
もうひとつ、中長期の材料として押さえておきたい動きがあります。
ECBのシュナーベル専務理事が、任期満了を待たずに退任し、IMFの金融資本市場局長に就任する見通しとなりました。就任は来年1月の予定です。
同氏は現在のECBで最もタカ派的な当局者とされてきました。イラン戦争勃発後の2回の利上げを明確に支持し、さらなる金融引き締めが必要になる可能性も示唆していました。
ラガルド総裁とレーン理事も来年に任期満了を迎えます。
FXへの影響
タカ派の中心人物が抜けることで、ECBの姿勢が変化する可能性があります。
前回お伝えしたとおり、ナーゲル独連銀総裁は景気抑制的な水準までの利上げの可能性に言及していました。後任人事の顔ぶれ次第では、その方向性が揺らぐこともあり得ます。
ユーロの強弱はドルの総合的な水準に影響し、間接的にドル円にも波及します。すぐに相場を動かす材料ではありませんが、来年に向けて注目しておきたい論点です。
今日のまとめ
米30年債利回りが2004年以来の高水準に達し、ドル円は一時159円台まで上昇しました。
背景は、原油高によるインフレ懸念と財政への懸念です。利上げしても長期金利が下がらない、むしろ追加利上げ観測で上昇する構図になっています。
FRB高官4人が相次いで追加利上げに言及し、10月の利上げ確率は約65%まで上昇しました。日銀の次の利上げが12月との見方が強いなか、金利差は再び拡大しやすい環境です。
159円から160円にかけては、介入警戒から円売りが減速しやすい水準です。一方で、突破すれば動きが加速する可能性もあります。
今回の新出用語
- 供給側のショックと需要側のショック:原油高や関税のようにコストが上がるのが供給側、AI投資のように需要が増えるのが需要側。中央銀行の対応は本来異なります。
- インフレ心理の定着:人々が物価上昇を前提に行動するようになること。こうなると金利での抑制が難しくなります。
- 200日移動平均:過去200日の平均価格を結んだ線。長期トレンドの目安とされます。
- 流動性供給入札:財務省が市場で不足している年限の国債を追加発行する仕組み。
※「良い金利上昇と悪い金利上昇」「レートチェック」など既出の用語は、用語集ページをご覧ください。
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