日米財務相の口先介入で円が反発|ドル円157円台後半、ベッセント長官がFRBに求めた「柔軟な姿勢」

 











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円は先週末に一時156円台まで反発し、157円台後半で推移しています。日米の財務相が電話会談で「強い円が望ましい」との認識を共有したためです。

 一方、ベッセント長官はFRBに対して金利で「柔軟な姿勢」を求めました。利上げを支持してきた同氏の発言としては、やや意外な内容です。

 今週の焦点と合わせて整理します。


今日のポイント

  1. ドル円は157円台後半。日米財務相の口先介入で、先週の安値から反発しました

  2. ベッセント長官がFRBに「柔軟な姿勢」を要請。インフレ抑制に自信を示しています

  3. 今週は30日にPCE、10月2日に雇用統計。10月の追加利上げを左右します





1. ドル円は157円台後半で推移

円は先週末に一時156円台まで上昇し、現在は157円台後半で推移しています。

前回お伝えしたとおり、24日には159円04銭まで下落していました。そこから反発した形です。

きっかけは、日米財務相の電話会談です。円の過小評価は問題だとの認識を改めて示し、ベッセント長官は「強い円が望ましい」と述べました。

口先介入が効いた理由

ここは押さえておきたい点です。

連載で追ってきたとおり、159円から160円にかけては介入リスクが意識される水準でした。市場参加者はその手前で円売りポジションを維持することに消極的になっていました。

そこへ日米双方から発言が出たことで、円売りの手じまいが進んだわけです。

実弾の介入がなくても相場が動いたのは、7月に実際の協調介入を経験しているためです。「言葉だけではない」という実績があるぶん、口先介入の効き目も残っています。

ただし持続性には疑問も

一方で、円高が続くかについては懐疑的な見方もあります。

米国での利上げ観測が高まるなか、ドル高の傾向は変わっていません。国内外の金利差や、原油高による貿易収支の悪化懸念も残ります。

日米の金利差という根本要因が縮まらない限り、口先介入で得られるのは時間だけです。膠着感が強まる可能性が指摘されています。





2. ベッセント長官がFRBに求めた「柔軟な姿勢」

今回もっとも注目すべき発言です。

発言の中身

ベッセント長官はFOXニュースの番組で、FRBの政策当局者は金利について「柔軟な姿勢」を保つべきだとの考えを示しました。

根拠として挙げたのが、AIや規制緩和による生産性の向上です。

同氏は、ウォーシュ議長について、1990年代のインターネットブーム期と同程度、あるいは「それ以上」の生産性向上が米経済で起きていることを「十分認識している」と述べました。

「グリーンスパン氏は成り行きに任せた。FRB理事や金融政策の決定に関わる当局者は柔軟な姿勢で臨むべきだ」

さらに、「コアインフレ率は非常に落ち着いており、実際ここ数カ月は低下している」とも主張しています。

「柔軟な姿勢」とは何を意味するか

かみ砕くと、こういうことです。

生産性が上がれば、同じ労働力でより多くのモノやサービスを生み出せます。供給が増えるため、物価は上がりにくくなります。

1990年代、グリーンスパン元FRB議長はこの点に注目し、経済が強くても積極的な利上げを控えました。「成り行きに任せた」という表現は、それを指しています。

つまりベッセント氏は、今も同じ状況にあるのだから、利上げを急ぐ必要はないと言っているわけです。

発言の位置づけに注意

ただし、この発言には背景があります。

連載で追ってきたとおり、ベッセント氏はこれまで日銀に対して利上げを求め続けてきました。円安を止めるためです。

一方、米国については、トランプ大統領が一貫して利下げを求めています。11月の中間選挙を前に、イラン戦争に伴う燃料価格の高騰が有権者の重荷になっているためです。

つまり同氏は、日本には利上げを求め、米国には利上げを急ぐなと求めていることになります。どちらも日米の金利差を縮める方向です。

FXへの影響

この発言をどう受け止めるかで、見方が分かれます。

素直に取れば、米国の利上げペースが緩む可能性を示唆する内容です。実現すれば金利差が縮まり、円高方向に働きます。

ただし、FRBは財務省の指示で動くわけではありません。前回お伝えしたとおり、複数の高官が相次いで追加利上げに言及しており、10月の利上げ確率は約65%まで上昇しています。

高官たちの発言と財務長官の発言は、明らかに方向が異なります。市場がどちらを重視するかで、ドルの方向が変わる局面です。

なお、8月のCPIではコア指数の前月比の伸びが市場予想を上回りました。「コアインフレ率は非常に落ち着いている」という同氏の主張とは、やや食い違う点も押さえておきたいところです。




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3. 中国のイラン支援縮小という見立て

もうひとつ、ベッセント長官が示した見方があります。

イラン産原油の中国向け供給が近く停止するとの見通しです。

「中国はイランへの支援を大幅に減らしている。海上輸送中のイラン産原油はあと1500万バレルしかない。恐らく今後2週間以内に中国への最後の原油供給が行われ、その後は何もなくなるだろう」

これにより、ホルムズ海峡の通航再開で合意するようイランにかかる圧力が一段と強まる、との見方です。

FXへの影響

もしこの見立てが正しければ、イランが交渉に応じる可能性が高まります。

連載で繰り返しお伝えしてきたとおり、原油安は円高要因です。日本の輸入コストが減り、米国のインフレ懸念も和らぎます。

ただし、イラン側の姿勢は変わっていません。トランプ大統領は26日、海峡再開に関するイラン側の提案を拒否したことを明らかにしました。

原油価格も日本時間の早朝取引でやや強含んでいます。協議が今週再開されるとの報道はあるものの、実際の合意までには距離があります。




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4. 今週の焦点

今週は米国の重要指標が2つ控えています。10月の追加利上げを判断する材料になります。

30日の8月PCE

FRBが重視するインフレ指標です。

注目は、インフレ調整後の個人消費支出が前月比0.5%増加すると予想されている点です。実現すれば1年余りで最大の伸びとなります。

PCE価格指数と、エネルギーと食品を除くコア指数はいずれも、8月に前月比で伸びが加速すると見込まれています。

ブルームバーグ・エコノミクスは、7月から9月の四半期も消費は底堅さを維持し、実質消費は年率3%を超える伸びとなる見通しだと分析。個人所得も0.5%増に加速した可能性が高く、消費を支えているとしています。

10月2日の雇用統計

9月の非農業部門雇用者数は、約9万人増加すると見込まれています。前月は3月以来の大きな伸びでした。失業率は4.1%にとどまる見通しです。

背景には、旺盛な設備投資と個人消費の改善があります。景気の勢いが増しているため、FRBは政策の焦点をインフレに明確に移すことができる状況です。

FXへの影響

両方とも強い結果が出れば、10月の利上げ観測が一段と高まります。ドル買いが進み、再び159円から160円を試す展開が考えられます。

逆に弱ければ、利上げ観測が後退してドル安に振れます。日米財務相の発言と重なれば、円高が進みやすくなります。

現時点では、来月に0.25ポイントの利上げが実施されるとの見方が優勢です。指標がその前提を裏づけるかどうかが焦点になります。





5. 金利上昇の一服

先週末の米債券市場では、超長期債を除く多くの年限で利回りが低下しました。

前回お伝えしたとおり、30年債利回りは2004年以来の高水準に達していました。今月に入って顕著になった世界的な金利上昇が、いったん一服した形です。

背景には、ホルムズ海峡を巡る協議進展への期待から原油が下落したことがあります。

FXへの影響

金利上昇の一服は、投資家のリスク許容度を高めます。株式には追い風です。

為替については、米金利の低下がドル高の勢いを弱める方向に働きます。日米財務相の口先介入と合わせて、円が反発した要因のひとつです。

ただし、これは一時的な動きにとどまる可能性もあります。原油価格が再び上昇すれば、インフレ懸念から金利も上昇に転じます。

原油価格の動きは、引き続き日々確認しておきたい指標です。





今日のまとめ

日米財務相の口先介入で、円は先週の安値から反発しました。7月に実際の協調介入を経験しているため、言葉にも効き目が残っています。

ベッセント長官はFRBに「柔軟な姿勢」を求めました。日本には利上げを、米国には利上げを急ぐなと求める構図です。どちらも金利差を縮める方向ですが、FRB高官の発言とは方向が異なります。

今週は30日のPCEと10月2日の雇用統計が焦点です。両方とも強ければ10月の利上げ観測が高まり、159円から160円を試す展開も考えられます。

157円台では、上下どちらの材料も出やすい状況です。指標の結果を確認してから判断する余地があります。





今回の新出用語

  • 口先介入:実際の売買を伴わず、当局者の発言で相場をけん制すること。過去に実弾の介入があるほど効果が出やすくなります。
  • 生産性の向上:同じ労働力でより多くのモノやサービスを生み出せるようになること。供給が増えるため、物価を抑える効果があります。
  • 実質消費:物価変動の影響を除いた個人消費。消費の本当の勢いを示します。
  • 貿易収支:輸出と輸入の差額。原油高で輸入額が増えると悪化し、円安要因になります。

※「良い金利上昇と悪い金利上昇」「レートチェック」など既出の用語は、用語集ページをご覧ください。




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