今夜のFOMCで3年ぶり利上げか|ドル円154円台、9割織り込みが持つ意味と過去データ


 









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今夜のFOMCで、米国が2023年以来となる利上げに踏み切る可能性が濃厚になっています。

市場は0.25ポイントの利上げを9割程度織り込みました。


 過去のデータを見ると、ここまで織り込まれた局面で利上げが見送られた例はありません。


 結果を控えた相場の構造と、注目すべきポイントを整理します。


今日のポイント

  1. ドル円は154円台前半。FOMCを前に膠着気味の展開です

  2. 利上げの織り込みは9割程度。2008年以降、ここまで織り込まれて見送られた例はありません

  3. 焦点は利上げの有無ではなく、その先の見通しに関する示唆です





1. ドル円は154円台前半で膠着

円は対ドルで154円台前半で推移しています。

原油価格の高騰が円の重しになっています。

米WTI先物は15日、約4カ月ぶりの高値をつけました。米イラン戦争の影響に加え、サウジアラビアの主要パイプラインやリビア油田の操業停止が重なったためです。


ただし、大きくは動いていません。

市場の焦点が日本時間あす未明のFOMCに移っており、結果を見るまでポジションを傾けにくいためです。


債券市場では別の材料も

国内の債券市場では、日本政府の防衛費増額検討を受けた国債増発懸念が新たな重しになっています。

前回までにお伝えしてきたとおり、財政不安による金利上昇は通貨の信認低下につながります。日銀の利上げ期待による金利上昇とは、意味が異なる点に注意が必要です。

明日から日銀会合が始まるだけに、この論点は改めて意識しておきたいところです。


2. 今夜のFOMC

織り込みは9割程度

米金利先物市場では、0.25ポイントの利上げが9割程度織り込まれています。

ウォール街では90%を超えるとの見方もあります。

実現すれば、2023年以来の利上げです。


過去データが示すこと

ここで押さえておきたい事実があります。

2008年以降、利上げがここまで織り込まれた局面で、実際に利上げが実施されなかったことは一度もありません。

これほど確信度が高まった市場の見方は、過去数十年にわたり的中してきました。

つまり、今夜の利上げ自体はほぼ確定と考えてよい状況です。


だからこそ焦点は「その先」

利上げが9割織り込まれているということは、実施されても新しい材料にはならないということです。

相場を動かすのは、年内の追加利上げに関する示唆になります。

スワップ市場は、今回を含む年内残りの期間について約50bpの金融引き締めを織り込んでいます。

つまり、今回の0.25ポイントに加えて、年内あと1回の利上げを想定しているわけです。

FOMCは今回、経済成長とインフレ率、金利見通しに関する最新予測も公表します。

ここで示される金利見通しが、市場の想定と一致するかどうかが焦点です。


市場参加者の見方

カーライルのジェイソン・トーマス氏は、FRBには0.25ポイントの利上げを実施するよう「極めて大きな圧力」がかかっていると指摘。

「人々はこれまでの累積的な物価上昇で打撃を受けている。

生活水準は低下しており、連邦準備制度は物価安定という責務の遂行に本腰を入れる必要がある」と述べています。





3. 債券市場は「極端な」売り持ちに

今回のFOMCを読むうえで、市場のポジション状況は重要な手がかりになります。


ショートが急速に積み上がっている

債券トレーダーは、利上げを見込んで弱気のポジションを積み増しています。

JPモルガンの米国債顧客調査によると、現物市場のトレーダーは過去1週間で、2025年初め以来最も速いペースでショートポジションを積み増しました。


シティグループのデービッド・ビーバー氏は、ショートのポジショニングは「戦術的に極端な水準にある」と表現しています。


BofAのストラテジストも、ショートはイールドカーブ全体で積み上がり、資産運用会社はおおむね買い持ちを減らすか売り持ちを増やしているとコメントしました。


なぜこれが重要なのか

連載で繰り返しお伝えしてきた原則です。

ポジションが一方向に偏っているほど、逆方向に動いたときの反動は大きくなります。

今回、債券市場は「金利はさらに上がる」という方向に大きく傾いています。

したがって、FOMCの結果が想定より慎重だった場合、その巻き戻しは激しくなる可能性があります。


想定されるシナリオ

資料では、次のような展開が指摘されています。

FRBが利上げを見送るか、利上げしても追加利上げについて明確な見通しを示さなかった場合。

この場合、トレーダーはインフレに備えて長期債により高い利回りを求める一方、金融政策を反映しやすい短期債の利回りには低下圧力がかかる可能性があります。

つまり、短期金利は下がり、長期金利は上がる。イールドカーブのスティープ化です。


FXへの影響

為替は主に短期から中期の金利差で動きやすい性質があります。

したがって、追加利上げの示唆が乏しければ短期金利の低下を通じてドルが売られやすくなります。

155円を前に頭を抑えられ、152円台を試す展開もあり得ます。


逆に、年内あと1回の利上げが明確に示されれば、ドル買いが進んで155円を突破する可能性があります。

いずれにせよ、ポジションが極端に偏っている状況では、値幅が出やすくなります。

結果発表前後は、ポジションの大きさに注意が必要です。




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4. ベッセント長官の議会証言

FXに直結する重要な証言が出ました。


米国の介入額は「ごくわずか」

ベッセント米財務長官は15日、下院金融委員会で、7月31日の協調介入で米国が投入したのは「ごくわずかな額」だったと述べました。

専門家の試算では、米財務省が投じた額は10億ドルを大きく下回ったとされます。日本が15兆3993億円を投じたのと比べると、桁違いに小さい規模です。


前回もお伝えしたとおり、ベッセント氏の手元メモには「50億〜100億ドル規模の円買い」と記されていました。

実際の投入額は、それを大幅に下回っていたことになります。


同氏は「ごくわずかな額で、日本の政策を支持する姿勢を示すことができた」と説明しています。


米国が円高を望む理由

証言では、米国の動機も明確に語られました。

「円高は米国の輸出にとって好都合だ。円が強くなれば、日本政府が為替介入の資金を捻出するために米国資産を売却する必要もなくなる」

連載で追ってきた構図が、当事者の口から確認された形です。


米国が円安を問題視してきたのは、日本のためというより、日本が介入資金を作るために米国債を売ることを避けたいからでした。

米国債が売られれば、米金利が上昇してしまうためです。


FXへの影響

つまりどういうことか、整理します。

米国の介入は、資金量ではなく「姿勢を示すこと」が目的でした。

実弾はごくわずかでも、市場に「日米が連携している」と受け止めさせれば効果が出る、という考え方です。


これは効率的である一方、限界も示しています。

資金量が伴わない以上、市場が本気度を試しに来れば、けん制は効きにくくなります。


もっとも、ベッセント氏の一連の発言と、それを受けた日銀の利上げ観測の高まりによって、円は実際に大きく上昇しました。

介入そのものより、政策の方向を変えさせることのほうが効果的だったと言えます。


なお同氏は、米財務省が円買い介入によって「数千万ドルの利益を上げた」とも述べています。

円が上昇したため、安く買ったドル売り・円買いのポジションに利益が出たということです。


明日からの日銀会合へ

ベッセント氏は、日本の金融政策に関する自身の見通しが、円買い介入の判断にも影響したことを示唆しました。

日銀は17日から18日にかけて金融政策決定会合を開きます。

前回お伝えしたとおり、エコノミスト52人全員が0.25ポイントの利上げを予想しています。


米国からの圧力が公然と語られるなかでの会合です。

利上げ自体は織り込み済みのため、植田総裁が示す今後のペースに関するメッセージが焦点になります。




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5. 原油高と金利上昇が続く

相場の底流にある材料も確認しておきます。

原油供給への懸念が、世界の金融市場の不安定要因になっています。

米イラン戦争に加え、サウジアラビアの主要パイプライン停止、リビア油田の操業停止が重なりました。

これを受けて世界的な長期金利の上昇が続き、米10年国債利回りは2007年以来の高水準となっています。

2年債利回りも2024年以来の高水準です。

原油と金利の上昇が企業業績への逆風となることが懸念され、米S&P500種指数は約1カ月半ぶりの安値をつけました。


FXへの影響

原油高は、日本の輸入コスト増を通じて円安要因になります。

米国ではインフレ懸念から金利上昇を招き、こちらもドル高要因です。

一方、株安が進めばリスク回避の円買いが出やすくなります。

FOMCという大きな材料に注目が集まりますが、原油と株価の動きも並行して確認しておきたいところです。





今日のまとめ

今夜の利上げ自体は、ほぼ確定と考えてよい状況です。

過去のデータを見ても、9割織り込まれた局面で見送られた例はありません。


焦点は、年内の追加利上げに関する示唆です。

市場は年内あと1回を想定しており、これと一致するかどうかで反応が変わります。


債券市場のショートは極端な水準まで積み上がっています。

想定より慎重な内容だった場合、巻き戻しは大きくなる可能性があります。


米国の介入額が「ごくわずか」だったことも判明しました。

資金量ではなく姿勢で市場を動かす手法には、効率性と限界の両面があります。


明日からは日銀会合です。

日米の中銀が2日違いで判断を下す、今年最大の局面が続きます。





今回の新出用語

  • ショートポジション:売り持ちのこと。債券のショートは、価格下落つまり金利上昇を見込んだ取引です。
  • イールドカーブのスティープ化:短期金利が下がり長期金利が上がって、利回り曲線の傾きが急になること。
  • SOFR:米国の短期金利の指標。金融政策の見通しを反映して動きます。
  • 建玉:未決済の売買ポジションのこと。増加は、その方向への関心や不確実性の高さを示します。

※「良い金利上昇と悪い金利上昇」「デュレーション」など既出の用語は、用語集ページをご覧ください。


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