FOMCが全会一致で3年ぶり利上げ|ドル円は156円台へ急落、年内もう1回の見通しと明日の日銀会合

 











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FOMCは0.25ポイントの利上げを全会一致で決定しました。2023年以来の利上げです。

 トランプ大統領が公然と利下げを求めるなかでの決定であり、しかも年内にもう1回の利上げが示唆されました。想定よりタカ派的との受け止めが広がり、円は154円台から156円台へ急落しています。

 明日は日銀会合の結果が出ます。市場参加者の見方を整理します。


今日のポイント

  1. ドル円は156円台前半。FOMCを受けて一時156円42銭まで下落しました

  2. 利上げは全会一致。年内にもう1回の追加利上げが見通しに示されました

  3. 明日の日銀会合のハードルが上がりました。内容次第で160円回帰の見方も






1. ドル円は154円台前半から156円台前半へ

FOMCの結果を受け、ドルが急反発しました。

ブルームバーグ・ドル指数は6月以来の上昇率を記録。円は海外市場で一時156円42銭まで下落し、17日の東京市場では156円台前半でもみ合っています。

前日は154円台前半でしたから、一気に2円近く円安が進んだことになります。

今月初めには152円89銭まで円高が進んでいました。日銀の利上げペース加速への期待、キャリートレードの巻き戻し、年金基金の国内回帰観測が重なった結果です。

その流れが、FOMCを境に反転しました。





2. FOMCの結果

全会一致で0.25ポイント利上げ

FOMCは15日と16日の会合で、FF金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.00%とすることを全会一致で決定しました。

2023年以来の利上げです。

注目すべきは「全会一致」という点です。7月の会合では3人が利上げを主張して反対票を投じる一方、ハト派の当局者は据え置きを支持していました。今回はそのハト派も賛成に回ったことになります。

年内にもう1回の見通し

さらに重要なのが、金利見通しです。

今後の金利見通しでは、年末までに少なくともあと1回の利上げを予想する当局者が大半を占めました。

前回お伝えしたとおり、市場の一部では「利上げは1回限り」との見方も出ていました。トランプ大統領が強く利上げに反対しているためです。

その想定を超えたことで、FRBの姿勢は予想よりタカ派的だと受け止められました。

トレーダーは現在、来年半ばまでに追加で3回の利上げを織り込んでいます。




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3. 市場参加者の見方

今回の決定について、専門家の見方を整理します。評価は概ねタカ派寄りで一致していますが、細部では意見が分かれています。

タカ派と受け止めた声

マニュライフ・インベストメント・マネジメントのネイサン・スーフト氏は、ウォーシュ議長の発言は「想定よりも明らかにタカ派色が強かった」と指摘。短期的には、底堅い米経済成長や根強いインフレに加え、FRBが引き締め姿勢を維持するとの見方がドルを支えるとしています。

BMOキャピタル・マーケッツのマーク・マコーミック氏は、今回の利上げを「タカ派的な発言から実際の金融引き締め局面への正式な移行」と表現。FRBが発言から行動に移ったことで、ドル高に新たな弾みがついたと分析しました。

プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏は、「議論の焦点は今や、再び利上げするかどうかではなく、あと何回利上げするかに移っている」と指摘。全会一致での決定は、ハト派の委員さえも利上げ支持に回ったことを示すとして、「今回1回限りで利上げを終える可能性は極めて低い」と述べています。

12月の追加利上げを見込む声

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのカイ・ヘイ氏は、12月にもう1回の追加利上げが基本シナリオだとしています。ただし、今後のCPIやエネルギー価格の動向次第だと付け加えました。

キャピタル・エコノミクスのスティーブン・ブラウン氏も、年内に少なくともあと1回、おそらく12月に追加利上げが実施される可能性が高いとの見方です。同氏はさらに、米当局者は失業率が低下する可能性を過小評価しているとして、2027年に3回目の利上げが実施されるとの予想も維持しています。

慎重な見方もある

一方、アネックス・ウェルス・マネジメントのブライアン・ジェイコブセン氏は異なる見方を示しました。

今回の措置について、FRBの目標への「よりタイムリーな回帰」を支える手段だとの文言が使われていることを踏まえると、年内の追加利上げは当てにしない方がいいというのです。

金利予測分布図の中央値は年内にもう1回の利上げを示しているものの、それまでに状況は大きく変わり得る、との指摘です。

気になる一言

エバコアISIのクリシュナ・グハ氏は、興味深い違和感を指摘しています。

ウォーシュ議長の記者会見は「論旨が明快で自信に満ち、一貫してタカ派的だったが、極端な印象を与えるほどではなかった」としたうえで、困惑した点が一つあったといいます。

議長が今回の利上げについて「金融緩和の度合いを幾分縮小した」と表現したことです。

グハ氏は、この発言が「FRB議長が金利をどこまで引き上げる必要があると考えているのか、われわれの見通しを揺るがす恐れがある」と述べています。

なぜこの表現が引っかかるのか

補足すると、こういうことです。

「金融緩和の度合いを縮小した」という言い方は、現在の金利水準がまだ緩和的だという前提に立っています。

つまり、これから景気を抑制する水準まで引き上げるのか、それとも緩和の度合いを弱めるだけで止めるのか。この違いによって、最終的な到達点は大きく変わります。

債券市場が不安を感じたのは、そこが読めなくなったためです。

FXへの影響

整理すると、次のようになります。

利上げの実施と年内あと1回の見通しは、ドルを支える材料です。実際、ドル指数は6月以来の上昇率を記録しました。

ただし、最終到達点が不透明である以上、ドル高の持続力には注意が必要です。専門家の間でも、12月の追加利上げを見込む声と「当てにしない方がいい」という声に分かれています。

今後のCPIやエネルギー価格次第で、見方が振れる余地は残っています。




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4. 明日の日銀会合

ハードルが上がった

FRBのタカ派利上げによって、日銀会合の重要性が一段と高まりました。

日銀も0.25ポイントの利上げが確実視されています。OIS市場ではほぼ完全に織り込まれており、政策金利は1.0%から1.25%になる見通しです。

問題は、それだけでは足りないという点です。FRBが年内あと1回、来年半ばまでに3回の利上げを織り込まれる状況では、日米の金利差は大きいまま残ります。

ACCMのグレン・イン氏は、「日本は円への打撃を最小限に抑えるため、利上げを実施するとともにタカ派的なメッセージを発するという、極めて大きな圧力に直面している」と指摘。

日銀の対応が市場の期待に届かなければ、「短期間で160円に戻るリスクは排除できない」と述べています。

50ベーシスポイントは期待しにくい

では、日銀が期待に応えられるのか。ここには構造的な制約があります。

SMBC日興証券の丸山凜途氏は、明日予想される利上げによって政策金利が中立金利の推計レンジに入るため、日銀が0.5ポイントの利上げや連続利上げを示唆する可能性は低いと予想しています。

中立金利とは、景気を刺激も抑制もしない金利水準のことです。そこに到達すると、それ以上の利上げは景気を抑える方向に働きます。慎重にならざるを得ないわけです。

丸山氏は、会合がハト派的と受け止められた場合、円の下値めどは158円になるとの見方を示しました。

あおぞら銀行の諸我晃氏も、日銀はFRBほどタカ派的な姿勢は示せないとして、200日移動平均線がある158円50銭付近が下値のめどになると予想しています。

円安が再開しても勢いは限られる可能性

一方、円売りが再開しても以前ほど勢いが出ないとみる理由もあります。

ひとつは、ポジションの状況です。CFTCのデータによると、レバレッジドファンドは8日までの1週間に円売りの持ち高を半減させました。キャリートレーダーは最近の円急伸で打撃を受けており、再び大きく売り込むには慎重にならざるを得ません。

もうひとつが、介入への警戒です。日米は既に協調して介入する用意があることを示しており、ベッセント米財務長官も円高を支持する姿勢を続けています。

実際、米財務省の声明によると、同長官は大幅に過小評価されている円に対処するため、日本が断固とした市場・金融政策上の措置を講じることに強い支持を表明しました。

FXへの影響

明日の会合について、シナリオを整理します。

利上げに加えて今後のペース加速が明確に示されれば、円高方向に振れます。ただし前回お伝えしたとおり、利上げ自体は織り込み済みのため、期待を超える必要があります。

想定内の内容にとどまれば、158円から158円50銭が下値のめどとして意識されます。

さらに、投資家が「日銀の利上げペースはFRBより遅い」と判断すれば、中長期的に160円方向へ戻る余地もあると丸山氏はみています。

注目は、植田総裁の記者会見です。今後の利上げペースや幅について、どこまで踏み込んだ手掛かりが示されるかが焦点になります。





5. 債券市場の変化

FOMCを受けて、債券市場にも変化が出ました。

8営業日ぶりに利回りが低下

米10年債利回りは3ベーシスポイント低下し4.99%となりました。8営業日続いた上昇に、いったん終止符が打たれた形です。

世界の国債の平均利回りは今週、19年ぶりの高水準に上昇していました。原油高でインフレ期待が広がっていたためです。

短期は上昇、超長期は低下

中身を見ると、年限によって動きが分かれています。

政策金利の影響を受けやすい短期債の利回りは上昇する一方、インフレ懸念の後退により超長期債の利回りは低下しました。

これは、FRBがインフレ抑制に本気だと市場が受け止めたことを示しています。目先の利上げは増えるが、そのぶん将来のインフレは抑えられる、という解釈です。

ラファー・テングラーのバイロン・アンダーソン氏は、FRBには「市場が求める利上げに踏み切るか、債券市場で一段と大幅な売りを招くリスクを冒すかしか選択肢はなかった」と話しています。

ただし上昇圧力は残る

もっとも、これで落ち着くとは限りません。

バンテージ・グローバル・プライムのヘベ・チェン氏は、債券市場への影響は一時的にとどまらず長引く可能性が高いと指摘。

短期ゾーンでは追加の金融引き締めを織り込む必要がある一方、長期ゾーンではすでにインフレや大量の国債発行、財政懸念が重しとなっているためです。

当初のボラティリティーが収まった後も、利回りへの上昇圧力が続く可能性がある、との見方です。

FXへの影響

超長期金利の低下は、株式市場にとって安心材料です。成長株が買われやすくなります。

株高が進めばリスク選好が強まり、円が売られやすくなります。一方、短期金利の上昇はそのままドル買い材料です。

どちらの経路でも、当面はドル円の下支えとして働きやすい構図です。





6. 原油高が一服

もうひとつ、相場の底流に変化があります。

サウジアラビアのパイプライン復旧への期待から、原油価格の高騰が一服しました。

前回までにお伝えしてきたとおり、原油高は日本の輸入コスト増を通じた円安要因であり、同時に米インフレ懸念を通じたドル高要因でもありました。

その圧力がいったん和らいだことになります。

ただし、中東情勢そのものが解決したわけではありません。復旧が遅れたり、新たな攻撃があったりすれば、再び上昇に転じる可能性は残ります。





今日のまとめ

FOMCは全会一致で利上げし、年内あと1回の見通しも示しました。トランプ大統領の反対を押し切った形で、想定よりタカ派的との受け止めが広がっています。

ただし「金融緩和の度合いを幾分縮小した」という表現が、最終到達点への疑問を残しました。専門家の間でも12月の追加利上げを巡って見方が分かれています。

明日の日銀会合は、ハードルが上がりました。利上げは織り込み済みで、焦点は植田総裁が示す今後のペースです。

想定内なら158円から158円50銭が下値のめど。期待を超えられなければ、160円回帰の見方も出ています。

日米の中銀が2日違いで判断を下す局面も、いよいよ最終日です。




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今回の新出用語

  • 金利予測分布図(ドット・プロット):FOMC参加者それぞれが予想する政策金利水準を点で示した図。今後の方向を読む手掛かりになります。
  • 中立金利:景気を刺激も抑制もしない金利水準。ここに達すると、それ以上の利上げは景気を抑える方向に働きます。
  • レバレッジドファンド:借り入れを使って運用するファンド。CFTCの統計で投機筋の動向を示す区分として使われます。
  • 200日移動平均線:過去200日の平均価格を結んだ線。長期トレンドの目安として意識されます。

※「良い金利上昇と悪い金利上昇」「キャリートレード」など既出の用語は、用語集ページをご覧ください。



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